書籍編集者の裏ブログ -40ページ目

ふたつの出版社

スルツキーです。
試験と私見は読みが同じ、私見と管見は意味が同じ、管見と官権は読みが同じです。それがどうした。どうもしません。どうもすいません。


というわけで、私はふたつの出版社を経験しています。

それぞれ対極の性格といっていい出版社です。ひとつは新興出版社、もうひとつは、老舗出版社。私は新興出版社(A社とします)に新卒で数年いて、その後、老舗出版社(B社とします)に移りました。何から何まで対極にある出版社です。
A社は、9時半から5時半が就業時間で、それを超すと残業になるのですが、月50時間という上限がありました(それを超すとサービス残業です)。担当作家の本を買うにも自腹でした。社員の平均年齢は若く、27.8歳で、だいたい4年~8年くらいで皆やめていきました。新興の会社なので、よっぽど工夫しないと大物の書き手は会ってくれません。看板で仕事はできない会社でした。また、入社直後からひと月もの間、洗脳といっていいくらいの激しい研修がありました。若い人が多い会社といっても風通しは逆に悪く、重苦しい体育会系のサークルの上下関係を彷彿とさせる空気に支配されていました。
一方B社は、何十年も前から編集者はフレックスタイムで、仕事がなければ3時間で帰ってもいいのですが、仕事が立て込めば、毎日20時間働いても一銭も残業手当はでません。社員の平均年齢は、調べたわけではありませんが、40代前半だと思います。殆ど社員はやめません。ただ、老舗だけあって、ここの社員であればどんな作家からも無下にはされません。仕事はしやすい環境にありました。研修というのはほとんどなく、各部署の所属長が、1時間ほどごにょごにょ話をするのを1週間ほど聞いているだけでした。空気は信じられないほど軽く、30年先輩や20年先輩をつかまえて友達のような口をきいている20代社員がごろごろしてます。
さて、次回は、この両極の出版社の入社試験のタイプと社員のタイプの比較をしてみることにしましょう。