書籍編集者の裏ブログ -42ページ目

日常

スルツキーです。

やっときれいに咲いたのです。咲いてません。意味がわかりません。


というわけで、初回は、書籍系編集者の日常を書いてみましょう。


朝、7時半に倅に起こされました。奴は片言の幼児です。

4時半に寝たはずなので、3時間しか寝ていないことになります。

それはいくらなんでもあんまりなので、横で豪快に寝ている家内を揺り動かして、

「頼む」

と、倅を押しつけ、そのまま私は意識を失わせます。


復活したのは、午前10時。

5時間以上寝たのは久しぶりです。ありがたいです。


飯を食って、銀行へ。

ヨーロッパのある機関に送金しないといけないのです。

841.25ユーロです。

ある写真を14枚借りるためのカネです。

会社の経理経由では時間がかかって仕方がないので、いったん自腹で振り込んでしまうのです。


その後、Hという店でラーメンを食べて、某駅に移動。

某駅のホームのベンチで、あるエンタテインメント系(SFでもミステリでも恋愛小説でも、時代小説でもありません)の新人作家の処女単行本を読みふけります。

なかなかの才能です。


一般に、エンタ系の作家については、


 ①キャラクターが書けるか

 ②文章がしっかりしているか

 ③起伏のあるストーリーを書けるか


を見るようにしています(細かくいえば、もっとありますが……)。


 ①>②>③


の順番で、才能に依存しているように思われます。

したがって、①が最重要です。②と③は編集者がフォローできる領域です。

そういう意味では、この作家は②と③がしっかりしていて、①はやや平板でした。しかし、このジャンル(ミステリでも恋愛小説でも、時代小説でもありません)は、唯一、キャラが立ってなくても成立するジャンルなので、大過はないのです。

「近々、会いに行こう」

というようなことを思っているうちに、午後2時20分になりました。


某駅至近の某ホテルの喫茶コーナーで、某売れっ子ミステリ作家と落ち合います。預けていたゲラを返していただくわけです。

海外にしばらく行かれていたので、その抱腹絶倒のエピソードでひとしきり談笑して、本題へ。かなり、細かく手を入れてくださっています。

こうすれば、文章は豊かになる。こうすれば、情景が前に出てくる。といった直しのお手本のような直しです。

さすが、第一線で活躍されている方です。

そうこうするうちに、次のアポの方がいらっしゃって、私はおいとま。


5時過ぎに出社とあいなります。

ごにょごにょと決済しないといけないことが机の上に山積みになっています。

さくさく処理するうちに、某有名コラムニスト氏が来社します。

今日は、某有名コラムニスト氏の単行本の打ち上げの日だったのです。


その某有名コラムニスト氏を紹介してくれという社内の別の部署の編集者二人を、某有名コラムニスト氏に引き合わせます。なんだか、盛り上がります。

そうこうするうちに、美人イラストレーター、美人マネージャー、美人デザイナーが出そろったので、おもむろに夜の繁華街へと繰り出します。

今日は、暑い日でしたが、鍋です。

暑い日こそ、鍋でしょう。なかなかの鍋です。うどんすきという奴です。

先付け、お造り、タケノコの刺身、と進み、鍋がでーんとしつらえられます。

生ビールから、日本酒へとアルコールも進みます。

美人たちの頬が赤らむのは何とも、楽しいものです。

某有名コラムニスト氏もアクセレートします。

「ウインクの見分けは付くべきではない」

「あみんは正確には二人組ではない」

「デビューの瞬間の桜田淳子と山口百恵の見分けはつかなかった」

ほぼ、100%、アホな話です。

わーわーいいながら夜は更けていきます。

10時半をすぎて、散会です。


私は社に戻り、事務に突入します。

回覧書類に目を通します。

某有名著述家対策を先輩編集者に相談します。

某有名国立大学、経済学教授に原稿依頼のメールを打ちます。

某有名純文学作家に原稿依頼のメールを打ちます。

某有名純文学作家に整理した初稿ゲラを発送します。

そうこうするうちに、もう午前2時です。


一杯飲んで帰ることにしましょう。